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コンセプト(レビューを、組織の判断資産へ)

River Review は、チーム固有のレビュー判断を versioned / repo-owned / testable な Skill として明示化し、SDLC 上の Artifact へ適用する OSS フレームワークです。AI が生成した成果物を、チームが所有する判断基準で評価できる状態をつくります。

このページは、River Review が何を課題と捉え、どんな価値を提供し、どこから先を引き受けないのかを整理したコンセプトの解説です。機能や実行モデルの概要は River Review とは、はじめての方向けの短い導入は River Review へようこそ を参照してください。

なぜ、いまレビューなのか

AI によって「作る速度」は上がりました。一方で「何を信頼してよいか」を判断する負荷は増えています。River Review は、次の 4 つの課題を出発点としています。

  1. 実装速度と判断速度の非対称 — AI は大量のコードや Artifact を生成できるが、意思決定の品質は自動では高まらない。
  2. レビュー知識の散逸 — 判断基準が PR コメント・個人の経験・会話に埋もれ、次の開発で再利用されにくい。
  3. 同じレビューの繰り返し — チームは同じ観点を毎回ゼロから説明するため、レビュアーの認知負荷と待ち時間が増える。
  4. 判断基準の所有権 — モデルやレビュー SaaS を乗り換えても、チーム固有の判断基準はチーム自身の資産として残す必要がある。

レビューの価値を再定義する

レビューの価値は、バグを見つけることだけではない。意思決定の品質を高めることにある。

レビューとは、成果物に対して異なる視点・根拠・リスク・代替案を提示し、より信頼できる意思決定を可能にする活動です。バグ発見は重要な一部ですが、レビューの価値はそこだけに閉じません。River Review は、この「意思決定の品質を高める活動」としてのレビューを、再利用・評価・改善できる形へ変えることを狙いとしています。

River Review をどう説明するか

コンセプトの語彙は 4 層に分かれます。層ごとに役割が違うため、混ぜずに使い分けます。

表現役割
Taglineレビューを、組織の判断資産へ価値を一言で伝える
Core MechanismReview Judgment as Code中核思想。仕組みの説明はここに集約する
Current ProductReview Judgment Platform / Team-owned Audit Layerいま提供しているものの呼び方
Long-term DirectionEngineering Judgment Infrastructure長期の拡張方向であり、現在の看板ではない

中核思想である Review Judgment as Code は、レビュー観点・判断基準・責任範囲・Evidence・エスカレーション条件・品質評価方法を、再利用と評価と改善が可能な形で管理する考え方です。Engineering Judgment Infrastructure は将来の到達点を示す語であり、現在の River Review が提供している機能の説明としては使いません。

Judgment Placement は、この 4 層に並ぶ 5 つめの看板ではありません。Core Mechanism をどこで実行するかを決める原則であり、Core Mechanism の層に属します。Review Judgment as Code は「何を判断するか」を資産化する考え方です。これに対し Judgment Placement は、個々の判断をどの評価層へ置くかを設計します。評価層は Deterministic / Heuristic / Agentic Review / Human Judgment の 4 つです(Judgment Placement)。

判断を定義し、実行し、記憶する

River Review のコアモデルは 3 つの層で構成されます。

  • Skills define judgment — Skill はレビュー職務・判断基準・責任境界を表す単位である。versioned / testable / portable な資産として管理する(Skills)。
  • Gates execute judgment — 要件・設計・計画・実装・検証など、適切な SDLC フェーズで Skill を実行する(上流、中流、下流)。
  • Riverbed remembers judgment — suppression・WontFix・過去判断・フィードバックを保持し、将来のレビューの一貫性と改善につなげる(Riverbed Memory)。

この 3 層は、次の判断ループとして回ります。

レビュー判断 → Skill 化 → Artifact へ適用 → Finding / Evidence / Verdict
→ 人間または呼び出し側が判断 → 結果を記憶・評価 → Skill を改善

ループの起点はチームが実際に下したレビュー判断です。その判断を Skill として書き出し、Artifact へ適用し、Finding / Evidence / Verdict という判断材料を得ます。最終的な判断は人間または呼び出し側が下し、その結果を記憶して評価し、Skill の改善へ戻します。

コードだけでなく、開発の流れをレビューする

River Review は PR の差分だけを見るツールではありません。実装前から実装後まで、SDLC 上の Artifact へチームの判断基準を一貫して適用します。対象とする Artifact は次の 9 種です。

  • Requirement — 目的・成功条件・スコープの曖昧さを減らす
  • Design — 既存設計との整合性、責務分離、過剰実装を確認する
  • ADR — 決定の理由・代替案・影響範囲が残っているか確認する
  • Plan — 作業分割・リスク・検証方針が実装前に揃っているか確認する
  • Diff — 実装が要件・設計・計画と整合しているか確認する
  • Tests — テストが仕様とリスクに対して十分か確認する
  • Security Report — セキュリティ上の指摘と対応状況を確認する
  • Final Report — 判断根拠・検証結果・未解決事項が残っているか確認する
  • Operations Artifact — リリース準備や運用手順に抜けがないか確認する

この 9 種は、River Review へようこそ で導入用に示している 5 分類(要件 / 設計 / 計画 / 差分 / レポート)を細分化したものです。対応は次のとおりです。

5 分類対応する Artifact
要件Requirement
設計Design / ADR
計画Plan
差分Diff / Tests
レポートSecurity Report / Final Report
(拡張)Operations Artifact

上流では要件・設計・ADR・計画を確認して後続工程のリスクを減らし、中流ではコードと PR をレビューして設計意図・計画・差分の整合を保ち、下流ではテスト・QA・完了レポート・リリース準備を確認します。

上の 9 種は コンセプト上のレビュー対象 です。実装済みの入力契約は Artifact Input Contract が定義する 13 入力(plan / diff / junit / test-cases など)であり、9 種のすべてが専用の入力タイプを持つわけではありません。Skill の充足度もフェーズによって濃淡があります。とくに Security Report と Operations Artifact は、対象領域としては定義済みですが、対応する入力契約と Skill は拡充中です。CLI としてどこまで実装済みかは レビュー対象と使いどころ を参照してください。

判断材料を増やし、責任は肩代わりしない

River Review は判断材料を増やす仕組みであり、責任を委譲する仕組みではありません。役割の分担は次のとおりです。

主体担うこと
River ReviewArtifact をレビューし、Finding / Evidence / Verdict を提供する。チームの判断基準を再現可能にする
人間最終責任、事業妥当性、不可逆な変更、重大なセキュリティ判断、高リスク領域の承認
AI 実装エージェントArtifact を生成・修正する。River Review はその成果物がチーム基準へ適合するかを評価する
PlanGate / CallerRiver Review の出力をもとに、GO / NO-GO / NEEDS_REVISION、反復、停止、承認を決める

プロダクト開発フローの中では、役割が次のように分かれます。

  • PlanGate — 何を作るかを決める
  • AI 開発エージェント — どう作るかを担う
  • River Review — 本当に良いかを評価する
  • AI Loop — どう改善するかを回す

River Review は「レビューする」までを担当し、「止める / 通す」の判断は PlanGate や呼び出し側が決めます。この境界はコンセプトと実装の両方で維持します。

なお、この 4 段は役割の分担を示すものであり、特定プロダクトへの依存ではありません。River Review のコア契約は artifact-based です。PlanGate と AI Loop は有用なワークフロー形態の一例にすぎず、River Review が単一のプランニング手法や特定のループ実装に依存することはありません。

人間監督の重さは、変更のリスクに応じて 3 階層で配分します。

  • 崖(cliff) — リスクの高い変更。人間承認を必須とし、不明なときは ESCALATE する。
  • 丘(hill) — 継続は許すが、期限付きの観測と後続確認を課す。
  • 原っぱ(field) — 低リスク。自律収束を許し、記録を使って事後に監査する。

この 3 階層の詳細は 設計哲学、人間の判断をどこへ集中させるかは Human Judgment Focus を参照してください。

Mission と Vision

  • Mission — レビューを、一度きりのコメントから、再利用・評価・改善できる組織の判断資産へ変える。
  • Vision — 人と AI が協調し、リスクに応じた責任分界のもとで、レビュー判断を継続的に改善できる状態を実現する。

現在の提供価値と、長期的な方向性

現在の River Review は Review Judgment Platform です。提供しているのは次の 4 つです。

  • レビュー判断の Skill 化
  • Artifact を横断したレビュー
  • チームが所有する監査レイヤー(team-owned audit layer)
  • 評価と operating memory による継続的な改善

長期の拡張方向は Engineering Judgment Infrastructure です。レビュー以外の判断職務への展開、ADR・設計・運用・SRE 判断の資産化、良い判断の作り方を組織能力にすることを見据えています。ただしこれは将来の方向性であり、現在の提供価値と混同しないよう分けて扱います。

River Review が目指さないもの

  • 汎用 AI コードレビュー SaaS — チーム文脈を持ち込めないため目指さない。
  • 実装エージェントの置き換え — 並列して動く検査ゲートとして設計する。
  • 静的解析の置き換え — Artifact を跨ぐ判断に集中する。
  • 人間レビュアーの完全代替 — 崖の人間承認を契約に組み込み、監督をリスク階層で配分する。
  • コード自動修正 — 問題の発見と指摘までを担い、コード変換や自動修正は行わない。
  • 自動承認・自動マージ — verdict は判断材料であり、承認そのものではない。
  • Evidence 不足のままの自律判断 — 自動化範囲の拡大は、検証とフィードバック反映の裏付けがある観点に限る。

この一覧の SSoT は内部資料の docs/vision.md にあり、本ページは同じ項目を掲載しています。最後の項目は 設計哲学 の「精度向上の前提」と同じ原則です。裏付けのない領域を先行させず、検証実績が積み上がった観点から広げます。

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